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2009年6月15日 (月)

 僕が美容院に行くようになった理由

引っ越ししたときに困ることは何ですか?

慣れない土地でまごつきながらも、コンビニ → スーパー → 食堂 → 書店 → レンタル店......と少しずつ地歩を広げていく中で、個人的に一番困るのが

新しい「行きつけの床屋」を探すこと

です。
僕は思うのですが、新しい床屋に行くってかなりリスキーですよね。

そんなわけで、結婚して今の土地に移ってきてからも床屋を探すのに苦労しました。
どの店に入ればいいのか決心がつかず、雨の降るなか1時間以上も近所をさまよったこと。
カット1500円くらいの安い店に行ったらひどくおざなりな仕事をされて、帰宅してから目立つ場所を相方に切りなおしてもらったこと。
あきらめて普通の価格の店に行って、「暑くなってきたので襟足は短めにしてください」と言ったら、いつの間にか坊ちゃん刈りにされていたこと。

何度もの失望を経験して、僕は一つの結論に達しました。

「これはもう美容院に行くしかない」


美容院って女性が行く場所のイメージだし、なんか外から丸見えだし、上を向いてシャンプーされるし、オシャレなスタイリストさんと何を話していいか分からないし、「今日はどうしますか?」と聞かれてもどう答えていいのかわからないけど、かといってイケメン揃いのヘアカタログを見て「こんな感じにしてください」というのもなんか恥ずかしいし、とまぁ、半分偏見なんでしょうけどとにかくすごく抵抗があったんです。
しかし状況は四面楚歌。
前門の虎、後門の狼。
「いいかげんに髪を切ってこい!」と怒鳴る相方。
ここまで追い詰められたら、もう腹を決めて美容院の門を叩くしかない。。。

とまぁそんなわけで、勇気を振り絞って美容院に行ってみることにしたわけです。
自宅近くの美容院の中で(世の中には実に多くの美容院があった)、オシャレ過ぎない雰囲気で安く切ってくれるお店があったので覚悟を決めてカットを予約。
冷たい汗をかきながら緊張してお店に行きました。

席に通されると、お店の店長らしき人が切ってくれることに。
黄色くメッシュに染めたロングヘアを立ち上げて後ろに流した髪型の、いかにも「スタイリスト」って感じのいでたちに、「うわーどうしよう、こんな人相手に何を話せばいいんだろう......」と焦る僕。
そんな僕を尻目に「今日はどうしますか?」と聞く店長。
そもそも自分のヘアスタイルのイメージを持っていない僕は、とりあえず「えーと、全体的に短くしてください」と曖昧に答えます。

さて、ここからが問題だ。
カットが終わるまでの間、このオシャレ店長とどんな会話を繰り広げればいいのか。
とりあえず天気の話題でも振っておこうか?
それともサービスのプロである向こうから話を振ってくれるのを待てばいいのか?
冷や汗をかいた僕の額に、カットした髪の毛がへばりつきます。

いつオシャレ店長にネタを振られるかとヒヤヒヤしている僕。
それに対して、オシャレ店長はというと、

無言。

必要なことを聞いた後は、特に何も言わずにてきぱきと髪を切っていきます。

...。
......。
.........。

しばらくたって、僕はやっと気づきました。

「あぁ、これってアリなんだ!」

美容院って、切ってもらっている間なんだかんだと世間話しなきゃいけない勝手なイメージがあったけど、無理に話しなくてもいいんだ。
考えてみれば、美容院に来る人みんな話好きなわけじゃないだろうし、人見知りの人もいるだろうし、僕と同じように静かに髪を切ってほしい人もいるよね。
それが分かった瞬間、気分がだいぶ楽になりました。
自分はいったい何をそんなに怖がっていたんだろう。。。


そんなこんなで美容院で髪を切ってもらうようになり、変な髪型にされることもなくなりました。
床屋に行くのが嫌で髪の毛が伸びたまま放置することもなくなったし、ワックスで髪型をアレンジすることも教えてもらいました。
先日久しぶりに結婚式のときの写真を見る機会があったのですが、あの頃に比べると髪型に関してはだいぶマシになったなぁ~としみじみ思います。
こんなんだったら、もっと早く20代のうちから美容院に行っておけば良かったですねぇ。

脱オタクファッションガイドという有名なサイトがあって書籍も出ているのですが、このサイトの中でも「美容院に行く」ことが強く勧められていた理由が良くわかりました。
顔は変えられませんが、髪型なら変えられます。
髪の毛に気を遣うことでスタイルに関する自意識と自信が生まれ、服装にも気を遣うようになり、ファッションに対する良い意味でのスパイラルに入ることができるわけです。
(僕はいまだにファッションに関しては無頓着ですが。。。)

この日記を見ず知らずの人が見ることはあまりないと思いますが、もし「脱オタファッションガイド」を見て美容院に行くか迷っているなら、「失敗しても死にはしない」と思って一度行ってみることをお勧めしたいと思います。
30過ぎてから美容院デビューした僕は手遅れ感が多々ありますが、20歳くらいの頃にヘアスタイルに気を遣うようになっていれば、ファッションに関してももうちょっとマシになっていたかもしれないもんねぇ。

時と場合によってはファッションが人生を左右することもあるわけで、オシャレをすることに対してポジティブな考え方ができるようになるのは決して悪いことじゃないと今更ながら思うわけです。
人生をいろいろ決めちゃったあとの僕にはもう手遅れだけどね(笑)。

投稿者 yone : 2009年6月15日 00:26

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