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2009年6月 2日 (火)
■ 脱力
村上春樹「1Q84」読了。
本当は昨日書こうと思っていたエントリだが、空き巣騒ぎでそれどころではなくなってしまったので翌日に延期となった。
大きな物語の中に深く潜り込んでいたせいで、本を閉じた後も現実との接点がうまく見つけ出せず、眩暈のようなふらつきを感じながら駅から自宅までの道を歩いたのをおぼえている。
その脈動は、今でも月のない静かな夜の浜辺に打ち寄せるさざ波のように続いている。
先日書いた「BOOK 3」以降が出る可能性についてはmixiのコミュでも盛んに議論されているし、読了直後は僕も「ここで終わらないでほしい」と思ったが、ある程度時間が過ぎてから思い返してみると「ここで終わるのもありかもしれない」という気持ちもしてきた。
確かに様々な伏線が未消化のままではあるが、単にこれらの伏線を回収するだけのストーリーでは、物語としての力が不足してしまう気がするからだ。
作中に登場する「空気さなぎ」に関する書評(BOOK2 p.123)のように、様々な物事が「ミステリアスな疑問符のプールの中に取り残されたまま」になっているわけだが、「あるいはそれこそが著者の意図したことなのかもしれない」。
いずれにせよ、村上春樹自身が「何度読んでも新しい発見があるような物語を目指している」と言っているし、この作品は再読に値するものだと思う。
少し休憩したら、お気に入りのフレーズに付箋を貼りながらのんびり再読してみようと思っている。
投稿者 yone : 2009年6月 2日 09:00