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2009年6月22日 (月)
■ 書くことによるプラスのサイクル
Joel on Softwareというブログをご存じだろうか。
(書籍版の訳者でもある青木靖氏による日本語化プロジェクトはこちら)
イスラエル国防軍で落下傘兵として働いたのち、MicrosoftでExcel 4.0の仕様を作ってビル・ゲイツのレビューを受け、その後数社のキャリアを経てFog Creek Softwareというソフトウェア会社を興すに至ったという経歴を持つJoel Spolsky氏のブログである。
Microsoft時代の内幕の話から、プログラミングやソフトウェアエンジニアリング、ソフトウェア会社の経営論、採用方法のガイド、果てはオフィスのデザインに至るまで、軽妙な語り口でありながら非常に現実的で示唆に富んだコラムが揃っていて、普段からモヤモヤと「何かおかしい」と思っている問題を見事な角度ですっぱり切って見せてくれる。
僕は直接ソフトウェア関係の仕事をしているわけではないが、どのエントリも考えさせられることがたくさんあるし、なにより読んでいてとても楽しい。
その中のコンピュータサイエンスの学生へのアドバイスにこんな一節があった。
少し長いが引用させていただく。
(上記のリンクから全文を読むことができる)
まあまあのプログラマと優れたプログラマの間にある違いは、どれだけたくさんのプログラミング言語を知っているかではなく、JavaとPythonのどちらを好むかということでもない。違いは彼らがアイデアについてコミュニケートできるかどうかという点にある。他の人を説得することで、彼らは力を得るのだ。
(中略)
私は英語で文章を書け、しかも上手く書けるのでなければプログラマを雇わない。あなたが良く書けるなら、あなたが職を得たときすぐに仕様書を書くように頼まれるようになり、それによってあなたは影響力を伸ばすことができ、マネジメントの目にもとまるようになる。
多くの大学には「文章を書くこと中心の」授業があり、その単位を取るためには非常に多くの文章を書く必要がある。そういう授業を探して取るようにしよう! どんな分野でもいいから、毎週、あるいは毎日文章を書く宿題を出す授業を見つけることだ。
日記やウェブログをつけはじめるといい。書けば書くほど、書くのは楽になる。そして書くのが楽になれば、もっとたくさん書くようになるという、プラスのサイクルができる。
5月末にとにかく「出力」する努力というエントリを書いた時は上記の文章を読む前だったのだが、まさにJoelの言うとおりだと思う。
文章を書くのは長距離走みたいなものだ。
誰もがマラソンで3時間を切れるわけではないが、一度も歩かずに完走することは練習さえすれば誰にでもできる。
名文を書くことはできなくても、自分の頭の中にあるユニークな「何か」の断片を一つの形として取り出すことはできるのだ。
最初は1km走るだけで息が上がってしまったとしても、自分の体と対話するコツさえ掴めば10kmでも20kmでも走り続けることができるようになる。
ここ何週間か、とにかく毎日ブログを書くという努力を続けてきて、自分の中身を取り出すことが少しずつ楽にできるようになってきた気がする。
あとは、「ねじまき鳥クロニクル」の主人公が井戸に降りていくように、少しずつ自分の中のより深い所まで降りていけるようになれるといいなぁと思う。
ただ、自分の中身を出力できるということと、仕様書がうまく書けるということはイコールにならないようだ。
僕の仕事場では、最近とみに「××設計書」みたいなものを書かせられるようになってきたのだが、これが非常に苦痛で仕方ない。
顧客に提出する文書ならば納得もできるが、自社内でしか使われない(それもレビューが終わったら二度と参照されないような)文書を作るのは退屈なのだ。
実際にやってみれば簡単にできるようなことを、どうしてわざわざ遠回りして文書にする必要があるんだろう?
業務規程に従って文書を作らなければ社内のちょっとしたシステムの改善さえも行えないような、硬直化した枠組み作りがいい仕事に繋がるとは到底思えないのだが。。。
投稿者 yone : 2009年6月22日 22:40
コメント
Joel Spolsky、ちょっと前にいくつか読んだよ。(日本語訳だけど)
「ジョエル・テスト」が面白かった。
自分の職場を採点すると2.5点くらいだった…(苦笑)
投稿者 Ikehon : 2009年6月25日 20:08
ジョエルテストでいい点数がとれる会社なんかあるのかねぇ。(^^;
そんな会社があったらぜひ自分も行きたいっす。
ジョエルの会社の話を読んでいるとすごく生き生きしてて楽しそう。
とても自分じゃ採用してもらえないですが。。。
投稿者 yone : 2009年6月25日 23:09