2009年5月13日 (水)
■ 地域密着型セカイ系マンガ 「花と奥たん」
高橋しんの新作、「花と奥たん」を読みました。
「いいひと。」系のほのぼのマンガかと思いきや、実は「最終兵器彼女」的なセカイ系マンガ。
「花」や植物たちで埋め尽くされ廃墟と化した東京と、そこへ勤めに出ていた旦那たんの帰りを待ちながら、ミニウサギのPたんとともに横浜の端っこの住宅地にある我が家で毎日の夕食を作る奥たんの日常を綴ったお話です。
「最終兵器彼女」と同じく、非日常のセカイの詳細については(今のところ)作中ではほとんど触れられず、その中で繰り広げられる奥たんの小さな日常がクローズアップされてゆっくりと描かれていくところが独特ですね。
奥たんの一日が一話という構成で、食糧事情が悪い中、食材を手に入れてその日の夕食を作るまでが一つの物語になっています。
あまりにも独特でスローテンポな展開なもので、ぐいぐいと読ませるような面白みのある作品ではないのですが、奥たんが作る料理がこりゃまたうまそうなんです。
食べ物や料理の部分だけカラー入れたりして(雑誌掲載時はたぶんモノクロだった部分も)、単行本としても非常に凝ったつくりになってます。
単行本化にあたって原稿に相当手を入れる高橋しんですが、ここまで贅沢なつくりにするとは出版社もなかなかやりますね!
万人受けして100万部売れるような作品ではないように思うのですが。。。(^^;
それはさておき、個人的に面白いのは非常に地域密着な描写が多いところ。
多摩川以南、川崎・横浜が舞台になっているのですが、うちの近所では東白楽駅のホームから望む東横線だとか、青木橋の風景だとか、六角橋経由横浜行きのバスだとか、横浜市の市場だとか、みなとみらいだとか、どこかで見たことのあるような風景がたくさん出てきます。
他にも多摩川はもちろん、旧南武線(作中では南武線は廃棄され、JRではなく何者とも知れない人々によって運行されているらしい)やら田園都市線(奥たん二子玉川から線路沿いに歩いて家に帰ってた。青葉区在住でも大変そうだけど。。。)やらその他いろいろ。
神奈川在住の人間にとっては、知っている風景を探すのもなかなか楽しいですよ。
投稿者 yone : 2009年5月13日 21:50